総務省は19日、次世代の放送の主役となる地上波デジタル放送が全国くまなく受信できるようになるのは、2009年度になるとの見通しを発表した。関東、中京、近畿の3大広域全域で放送が行き届くのは2006年度中としており、いずれも当初計画より3年遅れとなる。現行の地上波アナログ放送は11年に打ち切りを予定。視聴者への告知期間が短くなることや受信機器の普及の遅れが見込まれるため、将来、アナログ打ち切り延期など計画全体の見直しを迫られる可能性が強まっている。
総務省の公式計画では、地上波デジタル開始は3大広域圏が03年末、その他地域が06年末だった。しかし、同省が19日に明らかにした見直し案では、03年末段階での3大圏の受信地域は東京都港区、愛知県瀬戸市、大阪府と奈良県境の生駒山にそれぞれ立地する親局から一定の範囲内にとどまり、04年末時点でも受信可能世帯は全体の7〜8割の1500万世帯にとどまるとしている。
一方、デジタル化の最大の課題となっていたアナログ放送との混信対策費について、同省と放送業界がつくる全国地上デジタル放送推進協議会(会長・北川信テレビ新潟社長)は19日、全国で約1800億円かかるとの試算を発表した。主に瀬戸内海、九州・有明海に隣接する混信地域でのアンテナの交換、再調整費用にあてるという。
同対策費について、片山虎之助総務相は同日、全額国費でまかなう方向で検討する方針を示した。ただ、国の予算では約730億円しか見込まれておらず、2.5倍に膨れあがった対策費については財務省との予算折衝が必要になる。
総務省は携帯電話事業者らから徴収し、年間500億円程度の収入がある電波利用料から、7年間で毎年200億〜300億円を拠出したい考え。ただ、携帯事業者は反発しており、調整は難航しそうだ。
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